モノ作りのための極意

企業秘密って、伝えてしまっても
あんまり大したことが起きないって思う。

だから、私が作品作りで大切にしていることを
伝えてみようかと思う。

これが誰かの役に立ったら嬉しい。






私は料理好きで、味噌だの漬物だの色々作ってる。
きっかけは母がやっていたから。ただなんとなく。

でも。

時間が経つと、それで私が作る作品や
自分自身のあり方に差がついてくることがわかった。

1日、1ヶ月ではわからないが、
積み重なるとその差は
取り返しがつかないほどのモノを
生み出していると実感できる。

その結果、作品に現れるものは、
知識やノウハウでは購(あがな)えないものになった。

問題はテクニックじゃない。
もしテクニックありきでも、テクニックへの
向き合い方にも差が出てくるでしょうから。






私にはクライアントさんのあり方を代弁する責任がある。
だからこそ、自分のあり方は常に気をつけないといけない。

なぜならば、クライアントさんの生きる姿勢を
私が知っておかなければ代弁できないから。
そのクライアントさんのあり方を「測る」ときに
使うのは自分が持っている「心と体」。

つまり。 クライアントさんの心に触れた時、
自分の心と体が「どのように、どれくらい傾くのか」 

使ってクライアントさんを理解している。

だから、自分が今どんな状態なのか
気がついていないといけない。
いつも自分の心と体がどんな風に
傾いているのかを知っていないと
この誤差がわからなくなるから。

私のデザインはオーダーメイドのスーツを
作るようなもの。だから、きちんと相手の
寸法を測れることはとても大切なこと。

特にクライアントさんが男性であれば
「商談の場に着ていく戦闘服」の役割を
担うデザインである場合も多い

そんな時、私の採寸と見立てが狂っていたら…
そして、そんなものを着て大切な商談の場に行ったら…
どうなるか??相当ヤバイことになるでしょう。

私が一番怖いと思うことは、
 私のことを信頼してお任せしてくれている
クライアントさんを裏切ること。 

それだけは取り返しがつかないから。

それはほんの些細な差なのかもしれない、
けれどその積み重ねが信頼の差を生むのだから
私には無視できないことなのです。






大切なのは、自分の中のセンサーに気がついていること
そしてそのセンサーを切れ味の良い
包丁のように研いでおくこと。

センサーというのは、
 モノが腐っているかどうか、がわかる ということ。

これをバカにする人もいるけれど、
本当に腐っているかどうかがわからない人もいる。

腐っている食べ物を食べたらお腹壊しますよね?
腐っている物を食べたら、
ヒトの心と体だって腐ります。

食べ物に限らず、腐っているか新鮮か、は
あらゆる場面で見られるもので、
腐ったデザイン、とか。
腐った人間関係、とかもある。

どれも新鮮にしておきたいから、これを
見分けられることが大切になってくる。

だけど。
腐った体では、腐ったものの見分けがつかない。

そして、自分が腐ってることになかなか気がつけないのも
私を含めた現代人の恐ろしさでもある。

だからこそ、センサーが敏感であるように
いつも注意を払っている

 いつもピカピカのセンサーを張っていること 
モノ作りの極意。であり、
そのために必要な事の一つが、
センサーを磨いてくれる食べ物だったりします。






最初はなぜ自分が漬物や味噌作りをしてるか
そしてなぜそれを教えているのか、
気がつかなかったけれど。

全てはモノ作りとそれを伝えるために
必要だったから。

今になって、ようやくわかりました。

理屈や理由はわからなかったけれど
子供の頃から触れていたことを
ただやって習慣化していて。

私はその 習慣に守られてきた のだな、と
仕事を通して今さら理解したわけです。

本当にいい仕事がしたい。
人間味のある手仕事を大切にしていきたい。

そんな人には、
この日本人の持っている習慣を
今一度見直してみると、

ずしっと中身の濃い作品が
産み出せるようになると思いますよ。

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